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海の構造物

「海上空港ができるまで」編 第一話 海底地盤の改良の巻 第二話 護岸工事の巻 第三話 埋立工事の巻

第三話 埋立工事の巻

前回までに、【地盤改良】と【護岸工事】について説明しましたが、護岸工事が終わるといよいよ【埋立工事】に移ります。護岸で囲った区域に土砂を投入して、人工の島を造っていくことになります。

関西国際空港2期と中部国際空港の空港島の面積は、それぞれ545ha、580haと広大な土地を造成することになるので、埋立てに使用される土砂の量は、関空2期で約2億5千万m3、中部空港では約8千万m3とものすごい量となります。(中部空港は、関空に比べると埋立てる場所の水深が浅いので、必要となる土砂の量は少なくてすみます。)

関空2期工事で必要となる土砂をダンプトラック(10t)で運ぶとしたら、約4千万台分ものダンプが必要という計算になり、埋立工事は気が遠くなるほど長い期間がかかることになります。それに、関空の2期空港島や中部空港などでは、陸との連絡道路がまだできていないのでダンプでは渡ることはできません。

そこで、大量に土砂を運ぶことができる土運船(どうんせん)と呼ばれる船が活躍することになります。土運船は、土取場(どどりば)と呼ばれる山の土を切り出す場所から、工事場所まで、何度も往復して土を運びます。それでも、大規模の埋立工事では、何十隻もの土運船が参加しても何年間もかかります。

ところで、土運船にはいくつかの種類があり、水深の深いところでは、【底開式】・【全開式】の土運船が活躍します。これらの船は、船の底を開放することで、海中にいっきに土砂を投入します。関空2期工事には、4,000t〜8,000tもの大量の土砂を運べるような船が、何十隻も工事に参加しています。積込量が8,000t積みの土運船だと、10tダンプトラックの800台分の土砂を一度に運搬し、約30秒で投入を行う事が出来ます。これらの型式の土運船は、だいたい水面下3m位までの土砂投入に使われます。やや専門的になりますが、船から直接、土砂を投入するので「直投(ちょくとう)」というやり方です。

これ(水面下3m)より上の部分は水深が浅いので、船が入ると船底がぶつかってしまいます。そこで、【箱型式】土運船(船底が密閉された土運船)で土砂を運搬し、揚土船(ようどせん)と呼ばれる船で、土運船で運んできた土砂を陸上に揚げていきます。このやり方を「揚土(ようど)」といいます。
護岸の近く(内側)は、揚土船で直接投入できますが、島の中心部のあたりには、ダンプトラックなどで運びブルドーザーでならしていきます。

(用語の説明)

  • 第18神海丸+神-8001号(底開式)

    底開式土運船:船の底に扉があり、扉を開く事によって土砂を海中に投入が出来る。

  • 神戸丸+YS-6001(全開式)

    全開式土運船:船体が左右に開く事によって土砂を海中に投入が出来る。

  • 第1寄悠丸+RB-2(箱型式)

    箱型式土運船:船底が密閉されており土砂をドライ(乾いた状態)のままで運搬する事が出来る。

  • 神揚

    揚土船:ホイルバケット、バックホウ、グラブなどを用いてすくい揚げた土砂をベルトコンベアで土砂を陸上に揚土する作業船。

  • ガット船:グラブを装着したクレーンで船倉の土砂をすくいあげ海などに投入する。

それでは、山で切り出した土砂を、どのようにして土運船に積込んだり、現場に投入するのか写真で見てみましょう。

(1) 山での採掘と積込み
大型のバックホウやホイルローダーで、大型ダンプトラック(30t〜90t位)に土砂を積込みます。下の写真は岡山県の玉野市にある、玉野土石採取事業の写真です。 この事業は、三井造船株式会社玉野事業所内の地蔵山地区から土砂を採取しようとするものです。

(2) 破砕機を通し、一定の大きさにする
工事で使用する石の大きさは、その工事ごとに決められています。ところが、採掘する山には大きな岩石が混じっていることもあるので、工事で使用することが許される大きさまでに砕くため、一旦、破砕機(はさいき)に通されます。大型ダンプトラックで、破砕設備(ジャイレトリー・クラッシャー)まで運びます。

(3) 山での採掘と積込み
決められた大きさ以下に砕かれた土砂は、ベルトコンベアにのせられて桟橋や岸壁まで運ばれます。桟橋(さんばし)とは船を着けるために海に張り出した橋のことで、ここに着けられた土運船に、シップローダ(水をまくジョウロを大きくしたような機械)と呼ばれる土砂を船に積込むための設備で積込みます。
玉野の場合は、このシップローダで、1時間に約4,500tを船に積込むことができますが、それでも8,000t積みの土運船を一杯にするには2時間位かかります。

(4) 工事現場への運搬
土運船で埋立の工事場所まで運搬します。土運船のほとんどは、押船と呼ばれるボートで押してもらって動きます。その時のスピードは、一般的には押船の馬力によって決まりますが、だいたい6ノットから8ノットといったところです。ただし、潮流の影響を強く受けることがあります。

(5) 工事現場での土砂投入
1) 底開式や全開式の土運船が工事現場に着くと、土砂を投入する場所へ移動します。投入場所を決めるために、通信衛星を利用して自船が今どこにいるのか、位置を正確につかむためのシステム(GPS)を使います。場所が決まるといよいよ投入です。船の底のとびらを開いて土砂をおとします。

2) 箱型の土運船の場合は、工事現場内にとめられている揚土船の横に着け、揚土船を通して積んできた土砂を、海に投入したり陸に盛り上げたりしていきます。
ところで、土砂は山にある時は固くしまっていますが、いったん掘り起こされるとほぐれた状態になります。工事現場ではそのまま投入されるので、時間がたち再び固くしまっていく過程で、地面の高さは少しずつ下がってしまいます。
そこで、最終の地面の高さよりも余分に盛り上げていきます。

海の工事現場では、毎日たくさんの船が働いています。そのため事故が起きないように、また、効率良く船を動かすために、
運行管理センターというところで常時きびしく監視しています。

以上の説明でおわかりいただけましたでしょうか?
次回からは、空港島へ渡るための連絡橋などの橋について説明を予定しております。また見てね!